今回は荒俣宏つながりで「四足獣の歴史」を見ようとおもう
Topsell's The History of Four-footed Beasts and Serpents
引用元"Courtesy of Special Collections, University of Houston Libraries."
著者:Edward Topsell
画像の使用条件についてはこちらを参照
トプセルの死後20年たった1658年にまとめられた本
この本は四本足の獣と、蛇のイラストが描かれてるようだが
見たことのないような創作的な怪物も沢山見れるので面白い
「Another Monster」
パンの神をおもいおこさせるデザイン、山羊と人間と鶏のキメラか?
首の下からのびてる毛の生えたパンは鶏にもついてるアレに思える
「
Aegopithecus」
Another Monsterのようなキメラ的存在。
山羊と人間の2種の混合体のようで"2足歩行"してるが
4足獣の範疇としたんだろうか?
「
Sphinga or Sphinx」
エジプトのスフィンクスとはずいぶんかけはなれたイメージ。
手のように見える発達した足先は猿に近い
これといった興味は感じないが胸の水玉からフェロモンが出てる
「
Sagoin, called Galeopithecus」
胴長の日本猿という感じ。
歌舞伎役者の耳にソフトクリームのコーンが刺さってるように見える
「
Bear」
何の変哲もない熊だが、ハッチングのせいか編みぐるみに見えた
するどい爪以外はひどくかわいらしい姿だ
「
Beaver」
水面に浮かぶダッチワイフと見間違うかもしれない
ビニール素材で浮くのではなく、水かきが後足にちゃんとついている
「
Bison」
力強いハッチングが物凄く効果的
「
Camelopardals」
キリンのようだが、スタイルは今ほどよくない
「
Cat」
ここまでの獣の中で一番利口そうな猫
「
The picture of another face and horn」
現在もこんな角の鹿はいるんだろうか。
過度に発達した角や牙をもった動物は滅ぶと「
生物学講話」に書いてあったが。
「
Elephant」
耳と鼻は金属やオリハルコンで出来ているように見える。
象が自衛のために最強の盾(耳)と最強の矛(鼻)を持ったのだ。
「
Goat」
山羊、ようやく動物らしい顔をした動物が出てきた
「
Goat」
まちがってベルセルクの画像を拾ったのかと思った
「
Gulon」
一見ライオンに見えるがライオンではないらしい
むしろこの絵の主役は木ではないか?
何かを象徴している絵に見える
「
Sea-Horse」
カバは攻撃的な動物ということを最近知った
「世界大博物図鑑」の陸上の鯨が多く描かれていたのと同じで
この絵にもまだ水中の視点がないと考えていいのだろうか
いや、とても浅い川だったのかもしれないし
カバの足の造形をはっきりさせるために水上に立っているように
しただけかもしれない
「
The second kind of Hyaena, called Papio or Dabah」
現代の呼び名がUnknownになっているとテンションが上がってくる
ハイエナの第二種?
手のような後ろ足や体や顔のバランスはむしろマントヒヒに近い
首の太さは驚異的で、前足が辛そうだ
「
Mantichora」
たぶんマンティコア
ライオンと野口英世のような識者が合成されて
「本能」と「理性」の象徴のような存在であり、
子供の頃にみたスフィンクスに対する畏怖のようなものを思い起こさせる
私も
マンティコアのカード絵を描いているのだが、あれでは
「本能」に「本能(アへ)」が乗っているだけに思える
ラミアといえば下半身が蛇の女を思い出すが
人間+肉食獣の前足+馬の後ろ足+爬虫類の鱗という
4体合体のインパクトは中々だ
雄の生殖器をもち、全てを覆い隠すような鱗からはみ出した乳房の艶かしさ
はラバーフェチに通じる何かを感じずにはいられない
とにかくこの乳房
「
Lion」
姿は寝転がったときのライオンに見えるが
顔はとってつけたみたいだ
「
Linx once in the Tower of London」
オオヤマネコ、狼に人間の顔をとってつけたように見える
伝聞だけで描いたとしか思えない
「
Vulgar Little Mouse」
アンニュイな表情がたまらない
顔の造形が素晴らしい
「
Mouse Pontique」
このねずみは大好物の木の実を目の前にして
胴体が右に、尻尾が左に引っ張られる罠にひっかかった
「
Scythian Wolf」
たぶん狼?顔が異様にコミック風
ラクダと狐とライオンとドラゴンがあわさったような造形だ
「
Mouse Called the Shrew, or the Erd Shrew」
私はいままでにこんな邪悪でユニークな顔をしたネズミをみたことがない
「
Porcuspine or Porcupine」
今回のイラストの中で最も細密に描かれたハリネズミ
それまでは木版画で、この絵だけ銅版画ではないかとおもうほど
そのかわり味があまりない
「
Rhinoceros」
@tutoaもご存知のデューラーの描いたサイの写しだろうか?
皮膚病のサイを描いてしまったためにこんな爬虫類の鱗と金属の鎧を着込んだ
ような姿になってしまったといううろおぼえの逸話
しかしシルエットだけ見ても記憶の中のサイにそっくりだ
「
Ram」
羊、これも力作
とても「メェェェ」と啼くとは思えない
これを発見したときの
どや顔が透けて見える
「
Wild Beast in the New-found World called Su」
旧大陸(ヨーロッパ)に対して新大陸(アジアとか)の野獣?
Suという響きがアジアっぽい、人間を例えたものだろうか?
顔も中国とかの老師のように見える
子供を背に乗せて、照りつける太陽から守るために
ふさふさの尻尾で影を作ってあげてるのかもしれない
はじめてみた時は禍々しい怪物かと思ったが
よく見るとそんなに凶暴そうには見えない
「
Unicorn」
ふつうのユニコーン
「
Boa」
PCまわりのケーブルは放っておけば確実に絡まる関係にある
どうして蛇がからまってほどけなくならないのか不思議で仕方ない
「
Crocodile」
ふつうのクロコダイル
「
Dragon」
ビュフォンの本にあったのと同じように
翼と足があるもの、翼があるもの、どちらもないもの
の三種類がドラゴンとしてあげられている
しかし、神話の中のドラゴンのイメージとは少し違う気がする
「
Winged Dragon」
こういう造形になるとドラゴンというよりも
怪獣という見方をしてしまう
「
Hydra」
この絵は何かの風刺とみるよりは
高位の法力を扱う神官達が大蛇に飲み込まれ
魔術のようなものを使い、まず脚を生やしたなどという
妄想をしたほうが楽しくなる
「
Sea Serpent」
大海蛇
今までのイラストの中でも奥行きと高さが表現されている傑作
しかしあまり大きくは見えない
「
Serpents」
足と翼のないドラゴンとの区別がいまいちわからない
ビュフォンの「一般と個別の博物誌」よりも
ユニークな絵が多かったように思えた
紹介しきれてない全ての絵の一覧はここ